15周年祭 繋がるDNA(ちかレポ)

最後のラウンドのお客様のご案内が終わり、ほっと一息ついてふと見ると、カウンターに並んで楽しそうに喋っているムスメとAちゃんの姿が。社会人1年生のAちゃんが公務員試験を受ける際、県職員のムスメが親友の市職員と二人で相談に乗った。と言っても奴らのアドバイスは「スーツが似合えば採用だからAちゃんはどっちでも絶対へいき。」とかってオチだったけどね。律儀なAちゃんは初任給でムスメや私やその他たくさんのMFファミリーにお土産と、後輩たちへの差し入れに超絶ビッグで美味しい苺をたくさん持って来てくれた。配属先はムスメによると「ちょっとすごいエリートコース」だとのこと。小学生の時レッスンで、ちびっちゃいから先生のデモをよく見るために背伸びしようとして、グッと調理台を掴んだらステンレスの溝で指を切って「せんせー、血がでた。」って言ってたAちゃん。彼女のおかげでスタジオに絆創膏が常備されるようになったよ。

周年祭は当日もだけど前日準備が気忙しく、やけに緊張する。スクールカフェはその名の通りスクールガールたちの(ボーイがいる年もある)ものだ。幹事の3人が、提供するお菓子を決めて、レシピ確認して、材料計算して発注または購入までをやってくる。準備の日はお手伝いの子供スタッフを仕切ってお菓子を作る。いつものレッスンでは先生のデモをじっくり見た後に作ってるけど、この日は紙のレシピを読んだら即本番なので、そのレシピがわかりやすいか、計量用のメモが間違いなく揃ってるか、役割がスキルに合ってるか、が重要ポイント。それともうひとつ、あまり手の込んだお菓子を選ばないことが大切ね。今回の幹事のみようちゃん・まるちゃん・さゆりちゃんはそれらがパーフェクトだった。みようちゃんは既にマイブランドのお菓子を販売もしているので、今回のレシピは配合などオリジナルで作ってるのだ。もはやスクールカフェっていう範疇を超えてるな。

ということで大人スタッフの役目は基本見守り、それから手元の準備や片付け、洗い物かな。子供たちもいつもとテンションが違うため、レッスンじゃ絶対やらないことをやらかすことがあって驚く。とにかく安全な食べ物をお客様に提供することが最重要課題なので、乳製品を作業台に出したままになってないか、生卵を扱ったゴムべらを炊き上がったカスタードに突っ込まないかなど注意する。それからわたしの密かな楽しみは、小学生に上のクラスで習うことを先取りさせることね。今回は小学生に銅ボウルを酢酸で磨くことを伝授した。(化学反応の講義までは勘弁してやった。)そして今年は何しろデザートセット1,000円という高額商品なので、ドリンクメニューが洒落ている。前日準備でドリンクに使うアイテムを仕込むとか史上初じゃない?子供スタッフは(3年ぶりとはいえ)いつメンと新参者がいい感じに混ざっていて、先輩が後輩に指導する姿にキュンとする。スタッフに応募する子たちはとにかくお菓子作るの大好きで、それが全身から熱く発信されてる子もいるし、クールな面持ちで内面ひそやかにアガってる子もいて面白い。

いろんな準備に差し込まれ、昨日1時間しか寝てないというみようちゃんに、とにかく明日のために今日は寝てね、と言いつつ解散。そして翌日、祭りの本番。五月晴れですわ。

ミサリングファクトリーの素晴らしいところって枚挙にいとまがないけど、「周年祭で来てくださるお客様のご配慮」っていうのが本当に素晴らしく、ありがたい。今回はコロナ拡大防止のために席数をゆったりとって予約制にしたのだけど、定刻少し前には来場し、時間が終わる少し前には次の方のために席を譲ってくれる。お菓子の盛り付けや凝ったドリンクの提供にもたつくかな、と思っていたけど、全く滞りなかった。ネルドリップコーヒーの坂本さんもテンポよく出せるよう色々工夫。祭りの風景をカメラマンのマッキーにタイミングよく撮ってもらえて良かった。周年祭の空間にこの二人がいることはわたしにとって大切なことだ。それから今年初めて、プロのテーブルコーディネーターが来てくれた。奈弓さんには最初はペーパーナプキンのワークショップをお願いしたが、その後幹事さんから是非にとテーブルセッティングを依頼されたと。「ポップな感じと言われたのですがこれでどうでしょう?」と案内された仕上がりはもうさすがとしか言いようなく、いつものザ・スクールカフェっていう仕様も微笑ましいけど、本物の底力を垣間見た気がしたよ。

そんな奈弓さん、お手伝いスタッフであるお嬢さんの様子を心配そうに見ている。家じゃ何にもやらないしぼーっとしてるし大丈夫かしら?ですって。スクールカフェってわたしは勝手に「人間力爆上げ企画」だと思ってるんだけど、今年最優秀ギュンギュン爆上がったで賞は間違いなくお嬢さんのTちゃんだと思う。普段のレッスンでは消えそうな気配で、いっぱいいっぱいな雰囲気でお菓子を作っているのだけど、先輩たちに指導されながら立ち働くうちに、エネルギー量が上がって、いろんなことを自発的に出来るようになった。それと普段会わない他のクラスの子たちとわーきゃーできたしね。楽しいって気持ちのパワーは大きいね。

MF卒業生で現役のパティシエールであるまゆちゃんが、SNSの周年祭の記事に「スクールカフェ、続けてくれてありがとうございます。」ってコメントをくれた。最初のカフェの幹事だったまゆちゃん、当時中3だったかな。今年はお仕事でどうしても来られなかったけど、時間が合う年には寄ってくれる。後輩の作ったお菓子を食べる、まゆちゃんの優しい笑顔が素敵なんだよね。MFには食の仕事に就きたいという子の割合が多く、彼女もその系統の大学に通った後お菓子作りのプロになった。MFの後輩が彼女と同じ大学を受験することになった時、まゆちゃんは推薦文を書いてくれたんだよ。何より我が家にとっては、ひとりっ子のムスメの優しく賢い大事なお姉様。ムスメの結婚パーティにも来てくれて、それだけでもありがたいのに、巨大なケーキの切り分けもしてくれちゃったよ。

今年の販売部は、いつも美しすぎるアイシングクッキー を作ってくれるacorneのあこちゃん、リバティプリントのお洒落な雑貨やグルテンフリーのお菓子のtamatamaのたまちゃん、カフェ幹事をやりながらマイブランドのお菓子も作ったharmony sweetsのみようちゃん、超多忙の中お菓子セットを寄付してくれたatelier結心のゆっこちゃん、そして周年祭でしかお目にかかれない松本美佐先生の焼き菓子と、創作スイーツ「橘汁圓子」(みかん汁粉)。バタバタしてたら先生の生イーストマフィン(プレーン)がラスト1個になってて慌てたわ。これが買えなかったら昨日と今日頑張ってる意味がないからね。そして今年のラインナップはセットものがバラエティ豊か。この棚もMFが例年パワーアップしてることを感じる風景だな。

コロナのせいで一昨年、昨年と開催できなかった周年祭。一度止まってしまうとまた走り出すのがちょっとだけ億劫だったりもしたけれど(え?)ここに居られることのありがたみをしみじみと、まざまざと、ひしひしと感じる二日間でした。

来てくださったお客様方、お友達の皆さん、本当にありがとうございました。

マッキー、ねぃさん、奈弓さん、坂本さん、ご協力本当に感謝します。

松本先生、スタッフの皆さん、お疲れ様でした。おかげさまで楽しかったです。

さあ、16周年は何して遊ぼうかな。(坂本 知香)

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