育つ人、育ててくれる人。16周年祭(ちかレポ)

眩しい初夏の陽射しと新緑を通り抜ける風を感じるたびに、「良い季節にオープンしてくれてよかったな」と思うミサリングファクトリー周年祭。2020年、2021年と(集まって何か食べることが許されない世の中で)スキップし、昨年ちょっぴりドキドキしながら予約制で再開しました。結果たくさんのお客様に再会出来てとても嬉しかったのでしたが、完全フリーダムとなった今年のGW、皆さん長期旅行などにお出かけしちゃうかな・・とまた別のドキドキが。今年も一部予約制にしたところ、用意した枠は全て埋まり、予約なしで来てくれるお客様もいてとてもありがたかったです。

午後3時の最終枠、貴重なお休みに手伝いに来てくれたMちゃんと、午前も来てくれたのにまた会いに来てくれたAちゃんと、ムスメ、松本先生、坂本さんとテーブルに着きました。Mちゃんはスクールカフェの初代幹事さん、中3の冬から企画を始めて2009年の周年祭の日は高校生になったばかりでしたね。ムスメは2歳下で、一緒に企画から混ぜてもらってました。翌年はMちゃんがあっさりと「後進に譲ります」と幹事を降りて、そこから2013年までムスメは幹事をやり、途中参画したAちゃんが2014年から先導し・・・現在はMちゃんはお店の看板商品も開発する現役パティシエ、ムスメとAちゃんは神奈川県と横浜市の職員です。彼女たちを見ていると、何もないところからスクールカフェを作り、繋いで育てたことが素晴らしいと思う一方で、彼女たちをこんなに立派に育ててくれたのもスクールカフェと来てくださるお客さんなんだよね、と感謝でいっぱいの気持ち(親として)。

最初の頃って何を作ってたんだっけ?と遡ってみたら

・2009年 ガトーショコラ、バナナのパウンド、ベイクドチーズ、ヨーグルトゼリー

・2010年 ガトーショコラ、チーズケーキ、スフレロール、マンゴープリン、ヨーグルトゼリー

・2011年 ガトーショコラ、抹茶ロール、ヨーグルトゼリー、モンブラン

・2012年 ガトーショコラ、ニューヨークチーズケーキ、スイートポテトパイ、桃のババロア

こんな感じでした。この頃までは単品で、翌年くらいからデザートプレートになったんじゃないかな。

それから14年経ち、その頃幼児だった子たちが幹事として仕切り、生まれてもなかった子たちがスタッフとして働く今年の周年祭のプレートメニューは完成度が高くて素晴らしかったです。レモンのタルトにはイタメレを絞ってバーナーであぶるという気合いの入れよう。とはいってもイタメレなんか普段の子供レッスンでは登場しないので、突然始まるイタメレ講座(講師・私)。向こうで作業してた子が、聞きたいって素早く寄ってくるのが面白かったです。ここにいる子たちは心からお菓子作りが好きなんですね。そして前回タルトを作った時にも発生した、型が5つしかなくて一気に作れない問題。「持ってきたらよかった・・・」と幹事二人。型が当たり前に自宅にあるっていうのも今時っぽい。

前日仕込みの昼休みに高校生ちゃんが先生に「新しいお菓子のレシピってどうやって作るんですか?」って聞いてて、「これまでたくさん作ってきたからその中から系統を探すのと、あとは、降りてくる。」って返事が面白かったです。同じくお菓子を仕事で作ってるMちゃんもうなづいてましたね。「降りてくるもんなんだよ。降りて来なかったらそれは選ばれてないってこと。」私も、私がやりたい事に選ばれてるといいなあ。

洗い物をしながらRちゃんに「来年一緒に幹事やらない?」とリクルートするSちゃん。今年の幹事は他の二人が高3なので今回で卒業してしまうからね。スクールカフェは子どもから「やりたい」とリクエストがないとやりません。一回、誰も幹事立候補が無くてやらなかった年がありましたね。(その年は大人の文化祭とかいって大人が好き放題やりました。)

カフェの売上から毎年ご馳走になってるお弁当、今年も横濱うお時さんの最高に美味しいやつでした。ここ3年で配達してくれる弁当屋さんが増えましたね。

デザートを食べ、お菓子を買ってくださるお客様と仕事の合間にお喋り。でもなんか慌ただしくて、自宅に戻ってから御礼メッセージを送ると「仕事変わるんだよ」「ギター売っちゃったよ」など重大報告が返ってきたりして、またゆっくりお会いしてお話ししたいなと思いました。それから、4年前の周年祭で突然ギター伴奏をお願いしちゃった友達が、「もしもの時用にカポとピックを持ってた」というのが可笑しいやらありがたいやら。

MちゃんやAちゃん、ムスメが幹事の頃は打ち合わせのためにスタジオに集合していましたが、今はオンラインでサクサクと情報のやりとりをする幹事さんたち。前日の仕込みでドリンク試作し、スマホで写真撮ってプリントアウトして壁に貼るなど、良い時代になったなと思います。一方で、暑さの中坂を登って、時間とお金をかけて来てくださる皆さんが子どもたちに与えてくれる力は、オンラインなんかじゃ到底得られない、貴重なものだと改めて感謝しかありません。なのに皆さん、「来ると懐かしい誰彼に会えて楽しいから来るんだよ」って言ってくれるのが嬉しいです。私もスタジオに来てるだけでたくさんの友達に会えるラッキーな1日。

今年からMF BOX(いろんな人が講師になっていろんな講座を開くやつ)も始まって、さらにたくさんの人たちがここに集まるようになりました。心地よい空気がそれに呼応する人たちを集め、その人たちがまた素敵な空気を作ってくれる、そんなミサリングファクトリーです。だから本当は育ってるのは子どもだけじゃなくて大人もみんな、なんですよね。こんなところ他には無いんじゃないかな。松本先生がとんでもない逸材だと思う所以です。

お越しくださった皆様、ありがとうございました。来年もまたお祭りが開催できて、来ていただけると嬉しいです。

松本先生、ご一緒したスタッフのみなさん、珈琲の坂本さん、ありがとうございました。

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