お菓子を作る小学生 りんごジャム&スコーン編(ちかレポ)

ごくたまに、お菓子を作る工程においてちょっとデンジャラスなシーンが現れることがあります。例えばイタリアンメレンゲを作る際、シロップを120度手前まで熱して泡立てた卵白に混ぜ込むとかね。うちのムスメ、高校生の頃は土曜日学校の帰りにミサリング直行してたのですが、朝から大きな保冷バックを抱えて「あぁあ、今日はイタメレかあ。」なんてちょっと呟いてから出かけて行ったりしたものです。

さて、今朝はレッスン開始数分前、いつもは元気にスタジオ入りしてくる一人のお子さんが、何やらどよーんとした気配を纏っていました。普段そそくさと仕上げる身支度もなんだかまだるっこしい。実は、前にりんごの皮を剥いた時、包丁で手を切っちゃったんだって。「あぁあ、今日はりんごの皮剥きかあ。」って気持ちなのですね。でもそこはアシスタントのMちゃんが「じゃあ、一緒にやろうか。」って声かけて励まして、無事クリア。ちょっと自信を取り戻せたらいいなあ。

他にも、あまりに集中するあまり四切れのうち二切れ皮を剥いたところで顔色が少し悪くなって、「ちょっとトイレ行ってきます。」というお子さんも。10月は毎年りんごと格闘するミサリングのお子さんですが、「無理はしない」がモットーなので、途中リタイアもありです。でも今日はほぼ皆さん最後まで頑張れたようです。こんなふうに「ちょっとだけ高いハードル」を経験することは大事ですよね。

今年のりんごはジャムにしました。総重量を測ったら、10%のレモン汁と一緒に銅ボウルで煮て、柔らかくなったら50%の砂糖を加えて煮詰めます。今日は切るところまで皆さんにやってもらって、煮るのはこちらでやりました。冷めたら一人分ずつOPP袋に入れてヒートシール。以前スタンドパウチのゼリーを作った時のように、私がやってる横で5秒カウントしてくれる1年生ちゃんのプレッシャーが熱いよ。

あ、そうそう今回はジャムの添え物として(あれ?)スコーンも作りました。ジッパー付きの丈夫な袋で粉類とバターを揉んだら、牛乳や卵の混ざった液を入れて塊にします。しばし冷蔵庫で寝かせ、コロコロと四角くカットして焼きました。デモでは大体10個くらいになったのだけど、ちっちゃく16個くらいにしてるペアがいました。数が多い方が嬉しいんだろうか。

レッスン終了後は丸々一つのりんごをお土産にもらって、嬉しそうに帰って行きました。

そうそう、今朝のレッスン前のシーンをもう一つ。1年生ちゃん、送ってきてくれた親御さんとなかなか離れられません。ぎゅっと親御さんの体に腕を巻きつけて、なんなら目頭を手の甲で拭ってる。サロンの見える窓越しに、大丈夫かなあと心配して見ていたのだけど、親御さんがどうにかうまくお子さんの気持ちを切り替えて、じゃあまた後でね、と帰って行きました。そして1年生ちゃん、ものすごいニコニコした顔でスタジオ入り。感情のスイッチがあれこれ飛びまくるお年頃ね。でも共通しているのは、イタメレや包丁や大好きな家族との別れ(いや永遠じゃないけど)などを差し引いたとしても、みんなお菓子作るの好きなんだってことですね。

それにしてもやっぱり一度に10人のりんごレッスンはハードでした。写真撮れたのこれだけ。動画じゃないので伝わらないのが残念だけど、松本先生のりんごの皮剥き指導はとても解りやすくて毎年すごいなあと思ってます。(坂本 知香)

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