10月のフランス菓子研究所 タルト・レザン(ちかレポ)

タルトは生地を作るのに素手でガンガン触っちゃうので、指先にちょっと怪我しちゃった私としては安全のためビニール手袋をすることにしました。スタジオのある上永谷の駅を降りてすぐのドラッグストアで、品出し中の店員さんに「あの、今お姉さんのしてるような手袋どこですか?」と声かけ。レジ打ちながら「こんなものを毎日しなきゃいけない日が来るなんて、思ってませんでしたよね。」「そうですよねえ。手荒れしませんか?気をつけてくださいね。」なんて話をしました。私は調理の一瞬だけど、仕事中ずーっとしてなきゃいけない方は本当に大変だと思う。でも、品出しに手袋って実際はどうなのかな。私の職場でも、子供の学習対応にずっとビニール手袋してる先生がいますけど、保身のためだというなら、皮膚からコロナウイルスは浸透しないので、ご飯食べる前に手を洗えばいいのでは?なんてね。あれ、話がだいぶそれてしまいました。そうそうタルトですよ。レザンはレーズンじゃなくて葡萄のことね。

元のレシピでは「マスカットの皮をむく」という記述がありますが、今回は先生がとても美味しいシャインマスカットを用意してくれました。「大体一台に20粒使います。」と言ったら、農園の方が全ての房の粒を数えてシールに書いてくれたというね。ありがとうございました。そんなわけで皮ごと焼き込みます。でもワインに浸けるため、少し切り込みを入れました。15分浸けたら今度は汁気を切ります。ワインがもったいないので飲んでみたら、帰りに駅のホーム登ったところでクラクラしました。下戸は無理しちゃダメですよ。

タルト生地は本来なら作って一晩冷蔵庫で寝かせます。でも今回は作って30分寝かせてすぐにのして敷き込みです。これが本当に大変でした。ぐでぐでなんだもん。それでもどうにか力技で敷いたけど、焼いたらものすごく縮みました。一緒に作ってたひろこさんと「やっぱり、寝かせるって大事なんだねえ。」としみじみと言い合いました。きょうこさんが「あーもうダメです。決壊します。」というのに「まだ諦めちゃダメ。」と返す先生。(確認のため申し伝えますと、ここはお菓子教室です。)

空焼きしたタルトに、先生が仕込んでおいてくれたクレームダマンドを入れて平らにならし、マスカットをぎちぎちに並べてアパレイユをかけ、スライスアーモンドをパラパラして、粉砂糖をたっぷり振ったらしっかり焼きます。今回のお菓子は、技術的に難しいことは何一つないけれど、制限時間内に作るということだけが難関でした。でもこれ、お家で好きなだけ時間かけて作れるからといって、美味しいシャインマスカットやソーテルヌを手に入れるだとか、ほんの少しのために焦がしバターやクレームダマンドを作るだとか、そちらはそちらで大変なことになるんだよね。やっぱりお菓子教室は尊いわ。そうして出来た美味しいお菓子も尊いわ。

ムスメが自立してこのかた、18センチのお菓子を持て余し気味な我が家でしたが、今回は翌日に同僚さんやお友達と焚き火パーティして一気に切り分けて食べました。みんな美味しいって言ってくれて良かったよ。なんかね、同僚さんはそれぞれみんな個性があり得意不得意があって、根はみんなとても善良な人で、長いこと一緒に働いているので、とてもいいチームです。全国的にもよく誉められるからね。良質なバターと砂糖と卵と粉が一体化してとびきり美味しい生地になるのには、やっぱり時間が大事なファクターだと思う。そんなことを思ったタルト作りでした。(坂本 知香)

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