atelier結心の二ヶ月目
拒まれているとしか思えないような
インテリジェンスビルの入り口で
途方に暮れてるところへ
めちゃめちゃ人懐っこい笑顔で近づいてくる美人。
2016年3月のこと。
ゆっこちゃんとの初めましてでした。
その日は松本先生のイベントのお手伝い。
ミサリングファクトリーの生徒5人、お借りした会場のキッチンで
マフィンを焼いてお客様に配りました。
材料は持ち込みだけど
使う器具やオーブンはそちらの会社の備品。
どうなることかと思ったけど、いざ始まれば
初めてご一緒するメンバーとだって
テキパキ手分けして力合わせてサクサク進めちゃうのが
チームミサリングファクトリー最強と言われる所以です。
ゆっこちゃんは大手製菓会社のパティシエールだったので
その技術はもちろん素晴らしいのですが
それよりも魅力的だと思うのはお人柄。
仲良くなるにつれ、目標を持って生きている彼女の
強い意志やひたむきさ、謙虚さ、周囲への気配り力を知り
大ファンになってしまいました。
ゆっこちゃんの目標はお菓子のお店を持つこと。
地域のイベントでの販売や、期間限定での受注生産をしながら
松本先生の開業メソッドも学びつつ
着々と準備を進めていました。
ゆっこちゃんのお菓子はガツンと主張する味ではなく
むしろはじめはとても優しい印象だけど
味わうごとに素材の良さと丁寧に作られた心地良さと
込められたメッセージがひたひた押し寄せてきます。
お客さんとして、時にはイベントのお手伝いとして
近くで拝見しながら
この人は確実に成功するだろうと思っていました。
そして2019年2月、とうとうゆっこちゃんのお店
「atelier 結心」がオープン。
準備や開店セールには、チームミサリングファクトリー含め
たくさんの人がかわるがわる応援に駆けつけました。
一般のお客様に先行して、お世話になった方をお呼びした
プレオープンの日、お礼を言いたいゆっこちゃんの思いと
お祝いをしたい皆さんの善意が大きく渦になって
お店に命が吹き込まれたように感じました。
グランドオープンから3日間のセールでは
開店から30分でケーキセット完売、
焼き菓子も飛ぶように売れました。
安さにつられて来るお客様は常連さんにはならないかもしれない
という予想もあったけれど
実際にはそのセールでゆっこちゃんのお菓子のファンになった方が
通常営業が始まっても買いに来てくださっています。
午前中、友達の家に行くから手土産をとおっしゃる方が
帰り道に今度は自宅用のおやつを買いに寄られたりするんですって。
オープンから1ヶ月の今日、なんか手伝うことない?と
ムスメを伴ってお邪魔してきました。
ホワイトデーの可愛いパッケージを作ったり
新作のホワイトショコラフィナンシェをシーリングしたり。
紙モノに素敵なロゴをスタンプする作業は
「無になれるねえ」「いいねえ」とか言いながら。
ゆっこちゃんとも、この間受けた取材の話や
お客さんの流れのことや、ミサリングファクトリーの周年祭のことなど
ゆっくりお話もできました。
日曜日はあまりお客さん来ないんです、と聞いてたけど
常連さんやお友達などいい感じの間隔で来店されます。
新作の美味しい粒餡(わたしの周囲では有名な薩田商店さんの)を
巻き込んだロールの出足が遅くて
「なんでだろう?和三盆とあんこと生クリームだよ?
美味しいに決まってるのにね。」と嘆くゆっこちゃん。
でも夕方になってちゃんと売れたらしい。良かった良かった。
抹茶のチーズケーキも、色の関係で材料を途中で変更したそうで
お菓子屋さんって試行錯誤の連続ですね。
流行り物にはあんまり乗らないんだけど、と
仕入れの営業さんに勧められたルビーチョコレートを
クッキーに合わせてホワイトデー用に。
試食させてもらいました。
天然の鮮やかなピンクとほのかに感じる果実味が
女の子受けするんだろうな。
作業が終わりお土産買って帰ることに。
「おかげで色々捗ったので、明日は健診行ってきます。」というゆっこちゃん。
何しろ長距離走なのです。お身体大事にしてね。
(坂本 知香)