12月のフランス菓子研究所 ビッシュ・オ・フレーズ(ちかレポ)

スタジオに行くには地下鉄に乗るんだけど、降りるホームは唐突に地上に現れます。窓の向こうに広がる真っ青な空。ザ・冬晴れ。でもちょっと前までは同じ空見て「綺麗な秋晴れね」と思ってたんだよね。時間の流れるのは早い。そして夏晴れとか春晴れとかは言わないのは何故なんだろう。

12月はクリスマシーなケーキを作ります。シュトーレンやビルヴェッカのこともあるけど、まあ大体はビッシュです。クリスマスに幸せを運んできてくれる薪ね。そしてこれまで作ってきたのはほとんどがビスキュイにババロアズにクレームシャンティショコラブランってやつですが、今回はムース2種類。ムラングイタリエンヌ入りのふんわり軽く優しい味。

ビッシュを作る時に何が一番大変かというと、材料を全て買ってきて小さな容器に測っていくこと。それが全部終わったところにヘラヘラやってくればいいんだからレッスンって素敵だな。だってさ、バタームースに入れる卵黄4グラムって、それのために卵割って白身を別の容器に取っておいて、チマチマ人数分取り分けるってどれだけの作業でしょうか。そしてアイテムが多すぎて、何をどれだけ買うかの計算もえらいことになっています。本当にありがたいのです。

ちなみに私がお家で稀にビッシュを作る時には、生地を多めに作って天板一枚にどかーんと焼いて切り分けるし、ちょっとしか使わないアイテム(ミルクパウダーとか)は躊躇なく削除です。あ、それとお家だとキッチンを全部一人で使えるから、スペースの使い回しに頭を悩ませなくていいですね。ただ問題はムラングイタリエンヌ。娘が独立しちゃったから、シロップ係とムラング係に分業できない。先生のように、目玉クリップと吸盤使うしかないですね。(え?何のこと?と思ったらレッスン覗きに来てね。)一人でイタメレ作れたら、成長したな自分、と思います。認定試験では見事にやらかしたのだけど、先生がおまけして合格にしてくれたっけ。

イチゴのケーキの何が好きって、ポンシュが好きかもしれない。ビスキュイにたっぷり塗りたくった、甘酸っぱくていい香りのジュワッとした美味しさがたまらない。しかも今回はビスキュイにナッツが入ってて歯触りがいいのです。ってそんなこと書いたらムース作る苦労はどうすんのよ、ってなるかな。そうそうムースと言えば、流し込むのに最適な柔らかさっていうのがあって、理想は均一にとろみがありながら、きちんと型全体に広がる緩さで、でも決壊はしない感じ。生クリームを混ぜ込む前は少し緩いかなってくらいが良くて、しっかり冷えた生クリームと混ぜるうちにだんだん丁度良くなるのがベスト。ここらへんはムースと話し合いながら進めるといいですよ。お家では一度、固くなり過ぎちゃってどうにもならないから、湯煎で戻したわ。いい子は真似しないでね。温度計使うと安心です。

ビスキュイに流し込んだムースが完全に冷え固まったら、型から外してデコレーションします。外す時に型の側面にナイフを沿わせてくっついたムースを剥がすんだけど、よく失敗してムースやケーキを削っちゃいます。って先生も言っててちょっと安心した。しかし今日はとても美しく剥がせたので嬉しい。デコレーションはバタームースを塗ってフォークで模様をつけて、上にクランベリーやピスタチオを飾ります。チョコプレートを乗せて完成です。4時間10分の旅でした。

試食しながら、先生が先月お呼ばれした和歌山の話をしました。熊野古道も羨ましいけど、アドベンチャーワールドも行ってみたい。ひろこさんとりこちゃんがパンダの話で盛り上がってて面白かった。来年は旅行できるかな。行きたいところリストが伸びるばかりだよ。

先生、ご一緒した皆さん、今年一年ありがとうございました。また来年一緒に美味しいお菓子を作り倒しましょう。

「2ヶ月連続しんどかったから、来月はちょっと休憩ね」ということで、1月は「マカロン・ノア」を作るそうです。フープロさんが頑張るやつ。(坂本 知香)

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