3月のフランス菓子研究所 洋梨のパウンドケーキ(ちかレポ)
ケーキセット頼もうかという段で、いろんな種類のケーキがあった時に一番選ばないのがパウンドだという友達がいましてね。そんなこと言うんなら、イルプルのを食べさせてあげなくちゃと思った次第です。
でも友達の言うこともわかるんです。よくある作り方は材料を順番にハンドミキサーでガリガリ混ぜて焼くってやつですからね。バターと砂糖と卵と粉が1poundずつだからパウンドケーキって言うんだよ、と聞いたこともあります。アレンジとしてチョコ混ぜたり抹茶混ぜたりラムレーズン混ぜたりするわけですね。
イルプルのパウンドはそれらに比べてどれだけ繊細なことか。まず、使う材料によって卵を共立てするか別立てするかの違いがあります。粉の種類もこちらのルセットだと薄力粉、あっちだと強力粉、はたまたコーンスターチなど様々です。苺のパウンドの時なんか、生地を薄く入れて焼いたらコンフィチュール挟んで、また焼いたらコンフィチュール挟んで、とさながらオーブン使ってショートケーキ 作ってるみたいなことになってました。忙しすぎて気絶。レモンやアプリコットの時は、焼き上がったらグラスをかけて高温で乾かし、シャリっと半透明の綺麗な姿に仕上げます。今日は洋梨ですけれど、「他のフルーツに替えても出来ますか?」と質問されるととても困ると先生。そう言う問題じゃあないんですよ。オレンジならオレンジのための作り方、くるみならくるみのための作り方があるんだもん。
何よりも特徴は混ぜ方にあります。今回、生徒さん全員の「混ぜ動画」を撮影してくれた先生。怖いけど勉強になるわ。平行楕円、ボウルの底のふち部分をひたすら擦るだけ、しかも高速回転。余計なことは考えず、いらない動作はせず、とにかくひたすら混ぜる。テニスしすぎで腕を痛めてるひろこさんは左手も使ってました。
まあそうは言いましても混ぜるだけなので、デモを見ながら時間差で作って開始40分でオーブンに入ってしまいます。デモをしつつ動画も撮ってる忙しい先生を抜かしそうになる生徒。焼成45分、明日の仕込みを手伝ってもまだ時間が余るのでお茶飲んで休憩していました。
焼き上がり、紙を綺麗に剥がすのが大変。何しろほわほわと柔らかいパウンドです。沈んだ洋梨が端っこにくっついてると、ぽろっと取れてしまいそう。ポワールのオードヴィとコンフィチュールを塗ってセロファンで包みます。明日以降美味しくなるんです。今日は我慢。
試食の時間は旅に行きたいねえなんて話をしていました。台湾スイーツがアツいらしいので、食い倒れツアーに行きたいなあ。ミサリングメンバーで出かけたらすっごく楽しそう。早くそんなことが普通にできる日が来ることを願っています。(坂本 知香)