2月のフランス菓子研究所 モネの睡蓮(ちかレポ)

ミサリングファクトリーにはいくつかの慣例があります。「こどもたちは10月にはリンゴの皮を剥く」「キッズは年に1回お菓子作りではなく料理をする」など。「大人レッスンでチョコレートを扱うのは年に1回」っていうのもぜひ守っていきたい。だって大変なんだものチョコレートって。高い、扱いが大変、汚れる、スタジオ中にチョコのにおいが充満する。それでもやはり2月と言ったらチョコレート。世の中すべからくチョコレート。

今回のケーキは、ココアのビスキュイにガナッシュとバタームースという大変にリッチな仕立てとなっています。本来のレシピだとカシスリキュールが60g入る計算ですが、流石にそれでは酩酊しますので半量で。ポンシュもシロップではなくまんまリキュールです。そういえばスポンジ生地に刷毛でシロップなどを染み込ませることを「ポンシュを打つ」っていうのですが、「日本酒塗ってるんですか」と言われたことがあります。そのポン酒じゃないから。でも今回はガッツリ酒です。

ココアには消泡作用があるため、生地に使う時には緊張します。今回、ちょっとメレンゲ立て過ぎたため、混ぜの回数が多くなってしまい、膨らみが今ひとつでカットしたら白い点々がありました。まだまだ素人だな。ビスキュイは一時期メレンゲ立て不足による火抜けの悪さでべったりしちゃう病にかかっていたので、つい力が入りすぎたのでした。

チョコレートの扱いで一番大変なのは温度管理。今回、全て先生が丁度良い状態で渡してくれたのでなんてことないように思うけど、これは自分でやろうと思ったら大騒ぎです。各自の道具置きのバットに温度計が無いのが不思議だったんだけど、本当にありがたいです。そもそもガナッシュもナパージュも仕込んでいただいてるし、お菓子教室ってなんて素敵なんでしょうか。(しかしこれがこどものレッスンの助手で丁度良い状態にしたチョコを配布せねばならない方になった時は心臓がビリビリ痛い。)

今月から研究所にお入りになったsさん、いきなりこんな難易度の高いもの作らされて(え?)心折れたりしないかしら、と思ったのですが、最後まで集中してがんばっていました。来月はきっと楽勝です。そして彼女の作っているのを見て改めて、自分にとっての普通が誰にとっても普通ではないし、教わらなければ一生知ることのないことがたくさんあるんだなと思うのでした。歴の長いHさんとわたしがハイスピードで作るため、「土曜日クラス怖い」っていう風評被害が出ているのですが、圧をかける気はもちろん無いですし、必要とあれば手伝うので、マイペースで思う存分作ればいいと思います。

「池の味がする」との前評判にワクワクして試食しました。奥行きの深い複雑な味わい、カシスやアプリコットのキレのある酸味に柔らかなバタームース、ガツンと来るガナッシュ、酒をふんだんに含んだどっしりビスキュイ。う、、、ん、池、池、わかる気が、、、やっぱりわかんないごめんなさい。でも、美味しいですとても(しろーとか)。

さて、いよいよ今年度も来月の洋梨のパウンドで終わります。新年度のメニューを決めなきゃ、ってことで選考委員に選ばれました。皆さんのリクエストを拝見すると、「ショコ・マントウ」「キャラメルとチョコ」「苺とホワイトチョコ」「ザッハトルテ」・・・・

大事なことなんでもう一回言いますね。「チョコレートは年1回」。

(坂本 知香)

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