イベントのお問い合わせ、出来るもの出来ないもの

法人様向けのイベントもご依頼に応じ、企画提案をさせて頂いています。

ただ、出来るものと出来ないものは、はっきりしています。申し訳ないのだけど、お問い合わせ頂いた時点で(これはできない)と判断するものが多々あります。

出来るのは、宣伝広告費や福利厚生、CSRなど、予算があり、参加者からの参加費は無料(または低額)でのイベント。事前に見積を提示しご了承頂けた場合です。

出来ないのは、参加者から受講費を取り、その中から代理店がマージンを取るイベントです。これはお支払い頂ける金額も限られている上、参加人数により変動します。低価格で高リスクになるのでお請けしません。

お菓子教室のイベントにはどのような経費がかかるのか、参考までに書いておこうと思います。

たとえば、今回は、「子どもにデコレーションケーキを作らせるイベント」というお問い合わせを頂きました。40名規模で考えているとのこと。予算はひとりあたり3000円〜3500円だそうです。参加者からは5000円くらい参加費を徴収するのだろうなと思います。募集型イベントというのは人数が集まらない場合もありますので、予算14万円以下ということです。

スタジオ使用料で5万円以上(時間による)頂きます。ミサリングファクトリーのスタジオは40名はなんとか入れますが、40名が1人1台のケーキを作る作業スペースはありません。その前に40名分の道具は普通ありません。うちで出来ない場合はどこか別の場所でとのことでしたが、40名分の製菓用の器具道具があるのは専門学校などごくごく限られてます。その場所を1日借りるだけで軽く10万円以上のお金がかかります。

さらに、子どもにひとり1台のケーキを限られた時間内で作らせるためのスタッフ。ミサリングファクトリーで責任を持ってレッスンをお請けするなら、4人にひとりはつけます。最低10名は必要です。子どもにケーキを作らせるのはそう簡単なことではありません。

そして40名分の準備は相当の工数がかかります。事前準備のスポンジケーキは1個1,000円位です(売ってませんが)。そして保管料。ものは在庫するとお金がかかります。スポンジケーキを当日まで作って保管する場合1日1個数百円という保管料を頂戴します。スポンジケーキだけでも数万円です。もちろん、その他もろもろ材料費、副資材もかかります。さらに企画料、当日の講師料、レシピ使用料などなど…。

40名のお菓子教室というと大イベントです。準備打ち合わせに相当の時間を要します。到底14万円で出来る仕事ではありませんし、参加者が集まらなければさらに金額が低くなる可能性となると、うちではお請け出来る内容ではありません。

ミサリングファクトリーは、素材を選び丁寧に手作りすることの大切さを伝える教室です。これは大変工数がかかることですが、小規模な教室だからこその良さなので、がんばってやっているのです。大規模な低予算のイベントを受注する意味がうちにはないのです。

年に数回イベンターさんから「企画段階だがこういうのは出来るか?」という軽い問い合わせを頂きます。一般の方にはお菓子教室の準備や運営がどれだけ大変なのか分からないとは思いますが、イベント会社さんは企画のプロなのですから、人数の増減に関わらず、企画料、スタジオ使用料、スタッフ人件費、材料準備費などの固定費がそれなりにかかるということくらいは、想像して頂きたいものです。「この方はそういうこと全然考えてないなー」というのは文面で分かるので、悪しからず時間をかけないお返事をします。

もちろん、ミサリングファクトリーがどういう教室かを理解した上で、ある程度具体的な企画書と予算を提示下さる場合は、誠意を持って対応させて頂いております。

お教室やお店をやっていらっしゃる方は、少なからずこういった問い合わせの経験があるのではないでしょうか。問い合わせをされた方はそれ相当の時間を使い頭を悩ませるものです。私も以前は時間をかけてお返事や見積りを出していたのですが、大抵こういった問い合わせの仕方をしてくるところはお返事をくれないか、きちんとしているところも予算は合わず”仕事”とはいえないものになるでしょう。(宣伝や経験のために請けるのはある一定の時期まではアリだとは思います。)

参考になればと思い、今日は書いてみました。

ヘーゼルナッツのタルト

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