ミサリングファクトリー×北鎌倉「鉢の木」マナー教室
おはようございます!横浜のお菓子教室ミサリングファクトリー松本です。
先週金曜日に行った鉢の木さんの様子をミサリングファクトリーきっての文才の持ち主Chicaさんがmixiにあげて下さった文章を読んでしばし感動しました。当日の空気がそのまま再現されているようです。
たくさんの皆さんに知っていただければと思い、ご本人の許可を得て私のブロクに転載致しました。ぜひお読み下さい!
お菓子教室のイベント
毎回、一流のお店で開催しているのがすごい
もともと、ふだんのレッスンでも
よい素材しか使わないという先生の拘りがある
こどもでも、こどもだからこそ
安全な食べ物、正しく扱う方法を与えるべき
ま、オトナにしてみれば
美味しい食事と楽しい講義を破格で堪能できるイベントである
激しい雷雨のなか、電車も遅延ばかりで
大慌てで店に向かう
参加者の自己紹介のあと
藤川社長のお話からスタート
750年前、禅宗とともに日本にやってきた精進料理
発祥の地は建長寺、つまり、お店のすぐ裏である
そこから、千利休のはじめた茶の湯の話や
戦後の貪欲な食の時代の話へとつながる
日本料理の特徴は、素材をあまさず使うこと
そして、ヨーロッパと違うのは
食事を供するひとと食べるひとの立場が対等であること
たとえばフランス料理など、「サーブする」というのは
servantという言葉のとおり
供するひとが下の立場となり
運ばれてきたお皿は食べるひとの背後から差し出される
日本料理の場合、茶道でもそうだが
お皿は食べるひとの前から対面して出され
食べるひとは礼をしていただく
先般APECの首脳婦人8人の会食の際に
お料理を提供したのが鉢の木さんで
「お皿を背後から出すか、前から出すか」を議論し
結果、「日本料理を日本で食べるのだから、前」
ということになったそうだ
藤川社長のお話はとても楽しい
が、空腹時に食べ物の話は、話だけではちとつらい
と思うとまもなく実物が登場
☆胡麻豆腐
藤川社長が中学生くらいのころには
巨大なすりばちを足でもって抱えこみ
長いすりこぎで1時間も2時間も胡麻を擂ったとか
今は瓶詰めも使うが、香りをふくよかにするため
磨り立ての胡麻も加えて作っている
食べるタイミングにあわせて、2時間前に練ったばかりの
「できたて」は、ふるふる柔らかく香りが驚くほど強い
器は「あさがお」とよばれるそうだ
夏にはこういった口の広がったものを使い
冬には反対に口のつまったものを使うのだとか
☆鯛の潮汁
器は魯山人の日月椀、の、レプリカ
金と銀の円い文様を太陽と月に見立てた美しい柄
阿久根の鯛、というのはブランドなのだそう
鹿児島の激しい潮流と豊富な餌場で育った鯛は
引き締まった身、濃厚な味
潮汁を飲めばそのお店の真価がわかるとのこと
薄味につくるのはわりとかんたん
「塩をひとふり、おしょうゆをひとたらし
勇気を持ってできるかどうかが、料理人の技量」
板場でオニの形相で塩をつかんでいる姿を想像する
どんな世界にも「勝負!」の瞬間があるんだな
こちらはお刺身
伊豆から週1,2回取り寄せるという
わさび
それだけでもいける美味しさ
1盛りで鯛ひときれに匹敵する価格、だって
☆八寸
なす田楽 オクラ 茗荷寿司 だだ茶豆
生湯葉 いくら 半熟卵 しめじ粉鰹和え
オクラがやわらかく風味よいのに驚き
あちこちで「このオクラどうしたの?!」という声が
前に座ったyuriちゃんママが
「半熟卵ですらなんか高級」というのに激しく同意
ふだんキノコなんか食べない、という先生のご子息
「あ、食べてる。ウチでも今度から毛羽立たせる?」
と先生
ケバって (笑)
ほんのり柚子の香りもするお上品なしめじ
☆鮎の塩焼き
栃木 那珂川の鮎
焼く前の姿も見せていただいた
魚の臭みは一切なく、かすかに瓜のような植物性の香り
「小さい頃は虫を食べますが、大きくなると苔しか食べません。
だからこんな香りがします。」とのこと
ずいぶん華奢なんだな、と思い
これで生まれて何年くらいなんですか、と聞いたら
「鮎は年魚です。年を越しません。」
だからお祝いの席などではあまり使われないのだと
藤川社長に骨を抜く方法を教わる
2度目だけれどなかなかうまくいかないものだ
「10回やればうまくできるようになりますよ」
は、はい・・・
☆焼きおにぎりのお茶漬け
出汁を張った土鍋が運ばれてくる
あの鍋かっこいい、欲しい、とムスメ
どうゆうストライクなんだろう・・・
ちりめんじゃこと実山椒のおにぎりを焼いて
器にいれ、出汁を注ぐ
トッピングに、三つ葉、梅干、海苔、そしてわさび
黙々と箸を動かす
そういえば、35人という大所帯なのに
この静けさってなんだろう
美味しいものはひとを無口にさせるって本当なんだ
刷毛目のお茶碗が素敵
「足りないひとはしろいゴハンにちりめんじゃこで」
というと、勢いよく手をあげるムスメ
おお、さすが といいながら、ふた口わけてもらった
奥のテーブルから後輩のKちゃんが
ちいさな器を手に「すこしわけてー」とやってきた
Kちゃんラブなムスメは大喜び
「ゴハンはおいしいし、Kちゃんはかわいいし、
yuriちゃんはキレイだし、もうわたし、心残りない」
あれだけイケメンな先生の息子さんが隣にいるのに
そっちですか・・・
☆粟麩ぜんざい
美しい輪島塗の器
お餅よりずっと軽い麩を香ばしく焼いて
冷たくて甘みの強いあずきに乗せている
日本料理のことは学校では教えないでしょう、と
藤川社長は憂う
学校で教えない、大事なことはたくさんある
こうしたチャンスに出会えるこどもは幸運だし
それを与えるのはオトナの役目だ
食べたもの以上の栄養をちいさな体におさめて
満ちたりた様子で帰路につくこどもたちを見ながら
そう思った